このこのごはんは腎臓病のわんちゃんに食べさせてもいいの?
このこのごはんは良質なドッグフードではありますが、「腎臓病用の療法食」ではありません。このため、腎臓病のわんちゃんには不向きなのです。
でも、このこのごはん以外にも良質なドッグフードはたくさんあります。気を落とさずに、大切な愛犬にぴったりなドッグフードを見つけ出しましょう。
そこで、「腎臓病と闘ってる愛犬においしいドッグフードを食べさせてあげたい!」と願うあなたに向けて、犬の管理栄養士である僕が以下の内容を全力で解説します。
おすすめなドッグフードをご紹介しますが、必ず獣医さんに相談してから購入しましょう。
【自己紹介】生まれた時から犬がいる環境で育ち、犬が大好き。あなたの愛犬が元気に長生きできるように、心を込めて記事を作成しています(詳細プロフィールはこちら)。
【所有資格】1.SAE認定「犬の管理栄養士マスター」2.ペットフード協会認定「ペットフード販売士」3.JCSA認定「ドッグトレーナープライマリーライセンス」4.アニマルウェルネス協会認定「ペットフーディスト」
本編が始まるよ!
このこのごはんは腎臓病のわんちゃんには不向きな理由
残念ながら、このこのごはんは腎臓病のわんちゃんには不向きです。では、なぜ不向きなのでしょうか?その理由を2つ解説します。
腎臓病の愛犬に向けたドッグフードを選ぶ時にも使える「大切な情報」ですので、ぜひ読んでみてくださいね。
それぞれ丁寧に解説します。
1. 目的が総合栄養食であり療法食ではない
1つ目の理由は、このこのごはんは総合栄養食であり「腎臓病用の療法食」ではないからです。
総合栄養食…療法食…?何が違うのか教えて。
総合栄養食と療法食の違いを簡単に説明しますね。
- 【総合栄養食】わんちゃんに必要な栄養基準を満たしたドッグフード。総合栄養食と新鮮なお水だけで、健康を維持できるように栄養素が調整されています。
- 【療法食】病気のわんちゃんのために栄養素を調整したドッグフード。病状に合わせて使い分ける必要があるため、獣医師の指示に従って食べさせましょう。
総合栄養食は健康なわんちゃんに向けて、療法食は病気のわんちゃんに向けて開発されたドッグフードです。つまり、このこのごはんは、健康なわんちゃん向けなのです。
総合栄養食と療法食はどうやって見分ければいいのかな?
ドッグフードの目的(総合栄養食や療法食、間食など)は、パッケージに記載されています。
目的の記載がないと、わんちゃんの主食として食べさせても良いのかが判断できないため、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」で記載するように定められています。
腎臓病の愛犬のためにドッグフードを選ぶ際は、ドッグフードの目的が「療法食」であることを確認しましょう。また、「獣医師の指示に従って食べさせる」ことも覚えておいてくださいね。
獣医さんが適切な療法食を紹介してくれることもありますよ。
2. カリウムが豊富なサツマイモが含まれる
2つ目の理由は、このこのごはんの原材料に「サツマイモ」が使用されているからです。
ぼくたちは「サツマイモ」が大好きだけどダメなの?
サツマイモは甘味があり、わんちゃんに人気ですよね。でも、カリウムが豊富に含まれているため、腎臓病にはよくないのです。
ドッグフードの原材料としてよく使用される食材(にんじん・りんご)と、カリウムの量を比較した結果がこちら。サツマイモは、りんごと比べて約3倍のカリウムが含まれていますね。
(皮付き、蒸し) | サツマイモ(皮付き、茹で) | にんじん(皮付き、生) | りんご
390mg/100g※ | 270mg/100g※ | 120mg/100g※ |
なんで腎臓病のわんちゃんはカリウムを避けた方がいいの?
通常、摂取したカリウムは腎臓から排泄されるのですが、腎臓が弱っているわんちゃんは、上手にカリウムを排出できないことがあります。
カリウムが排出できないと、低血圧や不整脈などの心臓疾患の兆候が出てしまう可能性があるのです。
このため、サツマイモを使用しているこのこのごはんは、腎臓病のわんちゃんは避けた方が良いと判断しました。
腎臓病のわんちゃんにオススメなドッグフードの特徴
腎臓病のわんちゃんにオススメできるドッグフードの特徴を解説します。「腎臓病用の療法食」であることはもちろんですが、その他にも以下3点をチェックしてみましょう。
腎臓病用の療法食であれば3点とも満たされているはずですが、愛犬のためにあなたにも知っておいてほしいのです。愛犬が頼れるのはあなただけですからね。
それぞれ丁寧に解説します。
1. タンパク質を必要最低限に抑えている
腎臓病のわんちゃんにオススメなドッグフードの1つ目の特徴は、タンパク質を必要最低限に抑えていること。理由は、タンパク質を抑えることで、腎臓への負担の軽減が期待できるためです。
もう少しだけ詳しく説明しますね。
タンパク質は分解されると、尿素や窒素などの「老廃物」が発生します。この老廃物が多くなると、老廃物をろ過する役割を持つ腎臓の負担が大きくなってしまうのです。
だからタンパク質は少ない方がいいんだね!ってことは、腎臓病のわんちゃんはタンパク質を摂らない方がいいの?
答えはNOです。タンパク質は、わんちゃんのカラダ(筋肉や被毛、臓器など)をつくる重要な栄養素です。極端に制限とすると命に関わるため、「必要最低限のタンパク質」は必要です。
2. 低カリウム・低ナトリウム・低リンである
腎臓病のわんちゃんにオススメなドッグフードの2つ目の特徴は、カリウム・ナトリウム・リンの含有量が少ないこと。特にリンが多いと、腎臓へ負荷がかかり腎臓病の進行を早めてしまいます。
進行を早めちゃうなんて怖いな…。リンが入っていないドッグフードを探せばいいのかな?
タンパク質と同じで、カリウム・ナトリウム・リンも、わんちゃんにとって重要な栄養素です。低ければ低いほど良いわけではありませんので、極端な制限は行わないように注意しましょう。
カリウム・ナトリウム・リンの主な役割は以下のとおりです。
カリウム | 細胞内液の浸透圧の調整、心筋や筋肉の機能調整 |
ナトリウム | 細胞外液の浸透圧の調整、脳や神経の機能維持 |
リン | 骨や歯の成分、核酸、細胞膜、神経伝達物質の材料 |
腎臓病用の療法食に含まれるカリウム・ナトリウム・リンの量を調べてみました。どの療法食も圧倒的に含有量が少ないということはなく、AAFCOの基準値ギリギリか少し低い量でした。
(AAFCOの基準:0.6%以上) | カリウム(AAFCOの基準:0.08%以上) | ナトリウム(AAFCOの基準:0.4%以上) | リン|
特別療法食J(腎臓用) | みらいのドッグフード0.6%以上 | 0.06%以上 | 0.5%以上 |
低たんぱくバランス | 犬心0.7%以下 | 0.3%以下 | 0.55%以下 |
リナールアクティブ | FORZA100.7% | 0.09% | 0.28% |
腎臓ケア フレッシュチキン | POCHI 犬用食事療法食0.6% | 0.2% | 0.3% |
健康マネジメント腎臓 | yum yum yum!0.16g/100kcal | 0.05g/100kcal | 0.09g/100kcal |
腎臓病用の療法食であれば、カリウム・ナトリウム・リンの含有量が記載されていると思いますが、記載されていなければ、ミネラル全体の含有量を示す「灰分」が低いものがオススメです。
カリウム・ナトリウム・リンはミネラルの一種です。このため、灰分を確認すれば良いのですね。
腎臓病の愛犬にドッグフードを選ぶ際は、低カリウム・低ナトリウム・低リンであることを確認しましょう。
3. 抗炎症作用があるオメガ3脂肪酸を配合
腎臓病のわんちゃんにオススメなドッグフードの3つ目の特徴は、抗炎症作用があるオメガ3脂肪酸が配合されていること。オメガ3脂肪酸により、腎臓病の進行を遅らせることが期待できます。
オメガ3脂肪酸…?あんまり聞いたことないけど、どうすれば配合されているのかがわかるのかな?
ドッグフードのパッケージや公式サイトを確認してみましょう。
以下の画像は「みらいのドッグフード 特別療法食J(腎臓用)」の公式サイトから引用した画像です。しっかりと記載されていることがわかりますね。
オメガ3脂肪酸の含有量はドッグフードごとに大きく異なります。なのに、オメガ3脂肪酸の含有量は成分表に記載する義務がないため、多くのドッグフードに記載されておりません。
そんな時は、オメガ3脂肪酸を多く含む「サーモンオイル」や「魚油」が配合されているかを確認してみましょう(オメガ3脂肪酸の含有量が多いとは言い切れませんが、1つの指標になります)。
腎臓病のわんちゃんにオススメなドッグフード2選
残念ながら腎臓病は、回復する病気ではなく進行する病気です(慢性腎臓病の場合)。このため、少しでも愛犬の腎臓に負担をかけないように、食事療法でサポートしてあげることが大切です。
適切な食事療法で腎臓病の進行を遅らせることが重要です。
そこで、犬の管理栄養士である僕が、腎臓病のわんちゃんに心からオススメしたい療法食を2つご紹介します(他にも腎臓病用の療法食はありますが、僕がオススメしたい2つのみに絞ります)。
みらいのドッグフード 特別療法食J(腎臓用) | yum yum yum! 健康マネジメント腎臓 | |
(税込) | 販売価格通常:6,600円 定期:5,170〜6,050円※ ※購入個数により変動 | 通常:2,440円 今だけ:1,380円※ ※お一人様1セット限り |
内容量 | 1.0kg/袋 | 0.5kg/袋 |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
1. みらいのドッグフード 特別療法食J(腎臓用)
製薬会社が開発した、国産の腎臓病用の療法食です。腎臓病に対して和漢食材や高栄養価食品でアプローチしているのが、他のドッグフードにはない最大の特徴です。療法食ではありますが、食いつきが良いとの口コミが多いです。個人的に「まだまだ諦めない。」のコンセプトが大好き。
僕は「みらいのドッグフード(長寿サポート)」を愛犬のごはんとして購入していた経験があるので、非常に信頼しているメーカーです。
(税込) | 販売価格通常:6,600円 定期:5,170〜6,050円※ ※購入個数により変動 | |
内容量 | 1.0kg/袋 | |
原材料 | 生肉(鹿,馬,魚),大麦,玄米,国産雑節,サツマイモ,ヤシ,胡麻,菜種油,ビール酵母,和漢植物【ユーグレナ(ミドリムシ),オルニチン,セルロース,イヌリン,フランス海岸松,紫イペ,スリッパリーエルム,ネムノキ,菩提樹,ノコギリヤシ,ウラジロガシ,スピルリナ,コーンシルク,山芋,ツリガネニンジン,田七人参,朝鮮人参,当帰の葉,紅花,八角,菊花,ケイヒ,ウコン,DHA,亜麻仁,アンゼリカ,チャーガ(シベリア霊芝),霊芝,冬虫夏草,アガリクス,ハナビラタケ,プロポリス,クランベリー,タモギタケ,マイタケ,オトギリソウ,シロキクラゲ,山伏茸,メシマコブ,ガジュツ,ウコギ葉,ドクダミ,ハス胚芽,吉野葛,大棗(ナツメ),サラシア,カミツレ,ハトムギ,大麦若葉,陳皮,延命草,カノコソウ,黒豆,ザクロ,バイキセイ,麻(ヘンプ),甘茶,ケロッコパウダー,菊芋,クマザサ,アスタキサンチン,クロガリンダ,ノニ果実,サンザシ,サンシシ,ガラナ,モリンガ,生姜,キャッツクロー,板藍根,ローヤルゼリー,アロエベラ,甜茶,桑の葉,クコの実(ゴジベリー),MSM,ゴカヒ,ギョクチク,グアバ葉,ギムネマ葉,ブルーベリー,コラーゲン,緑イ貝】サチャインチオイル(耐熱性オメガ3脂肪酸),海藻(フコイダン),乳酸菌,オリゴ糖/グルコサミン,アルギニン,ロイシン,イソロイシン,バリン,リジン,メチオニン,タウリン,ビタミン類(B群,A,E,K),ミネラル類(亜鉛,銅) | |
栄養成分 | 代謝エネルギー | 330kcal/100g |
粗タンパク質 | 18.0% | |
粗脂質 | 6.8% | |
粗繊維 | 4.0% | |
粗 | 灰分6.0%以下 | |
水分 | 10.0%以下 | |
カリウム | 0.6%以上 | |
ナトリウム | 0.06%以上 | |
リン | 0.5%以上 |
\「1日でも長く愛犬と一緒にいたい」と願うあなたへ/
2. yum yum yum! 健康マネジメント腎臓
シニアのわんちゃんでも食べやすいように、超小粒サイズに設計されています。わんちゃんの食いつきアップのため、かつお節・しいたけ・こんぶの旨み成分をたっぷり配合しているのが嬉しいポイント。もちろん、獣医師が監修しているレシピですので、安心して愛犬に食べさせられます。
僕をはじめ、ペットフーディストの方が推していることが多い療法食です。
(税込) | 販売価格通常:2,440円 今だけ:1,380円※ ※お一人様1セット限り | |
内容量 | 0.5kg/袋 | |
原材料 | 小麦粉、鶏肉、豚脂、てんさい繊維、かつお節、卵黄パウダー、かつお節エキス、玄米、ビール酵母、酵母エキス、フラクトオリゴ糖、にんじん、かぼちゃ、ブロッコリー、発酵調味液、昆布、しいたけ、マリーゴールド(ルテイン含有)、乳酸菌、セレン酵母、ミネラル類(卵殻カルシウム、塩化カリウム、グルコン酸亜鉛、ピロリン酸第二鉄、グルコン酸銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB12、パントテン酸カルシウム)、酸化防止剤(ローズマリー抽出物、ミックストコフェロール) | |
栄養成分 | 代謝エネルギー | 364kcal/100g |
粗タンパク質 | 17.9%以上 | |
粗脂質 | 10.3%以上 | |
粗繊維 | 1.3%以下 | |
粗灰分 | 3.4%以下 | |
水分 | 10.0%以下 | |
カリウム | 0.16g/100kcal | |
ナトリウム | 0.05/100kcal | |
リン | 0.09/100kcal |
\「1日でも長く愛犬と一緒にいたい」と願うあなたへ/
腎臓病の愛犬にはこのこのごはん以外のフードを検討しよう!
今回は「このこのごはんは腎臓病のわんちゃんに食べさせても良いのか」と、「腎臓病のわんちゃんに食べさせてあげたいドッグフード」について解説しました。要点をまとめますね。
- このこのごはんは腎臓病用の療法食ではないため腎臓病のわんちゃんには不向き。
- 腎臓病のわんちゃんには低タンパク質・低カリウム・低ナトリウム・低リンが良い。
- 腎臓病の進行を遅らせることが期待できるオメガ3脂肪酸が配合されていると良い。
腎臓病のわんちゃんにオススメなドッグフードもご紹介しましたが、病状にもよりますので、獣医さんに相談してから購入しましょう。
腎臓病を患ったとしても、今までみたいに「おいしいね!」とパクパクごはんを食べられなくても、決して腎機能の回復が見込めなくても、あなたの愛犬はかけがえのない大切な家族です。
腎臓病と診断されたら、獣医さんに頼ることが多くなるでしょう。でも、あなたを何年もの間、笑わせて、喜ばせて、幸せな気持ちにしてくれた愛犬です。最後の最後まで、僕たち飼い主ができることを考え抜きましょう。
その1つが食事療法です。獣医さんの指示に従って、愛犬に正しくごはんを食べさせてあげるのは、あなた以外には決してできません。
本記事では、犬の管理栄養士として自信を持ってオススメできる、以下2つの商品のみに絞ってご紹介させていただきました。でも、愛犬の病状にもよりますので、必ず獣医さんに相談してから購入しましょう。
\腎臓病の愛犬に食べさせてあげたいごはん2選/
みらいのドッグフード 特別療法食J(腎臓用) | 健康マネジメント腎臓 yum yum yum! |
公式サイト | 公式サイト |
最後になりますが、あなたの愛犬が楽しく幸せな気持ちで、あなたの隣に居られることを心から祈っています。今回も読んでいただき、ありがとうございました。